暗黒式雑記群


『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』の始まり

 『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』は1991年にテレビで放映されたアニメで、放映終了後、続編がOVAで作られ続けた(4シリーズ、計27本)。先日、第4シリーズの最終巻を見た。毎回毎回、これが最後だと言うノリで作り続けてきたが、今度こそ本当に最後のようだからひとつ総括を書こう、と思ったのだが、盛大に長くなりそうなので、とりあえず今回はまだ見ていない人のために最初のテレビシリーズの紹介をすることにする。

 ――西暦2015年、今より少し進歩した世界では高機能のコンピュータ「サイバーシステム」を積んだマシンによるレース「サイバーフォーミュラ」があった。
 主人公「風見ハヤト」はトラブルに巻き込まれたことによって、父の造ったサイバーマシン「アスラーダGSX」に乗ってしまう。GSXに搭載されたサイバーシステム「アスラーダ」は最初に登録されたドライバー以外には動かせないため、ハヤトは成り行きでサイバーフォーミュラに参加することになる(ちなみに主人公のハヤトは14歳で、ヒロインの名前は「あすか」。でも声は三石琴乃(笑)。念のため言っとくがこっちのほうが早いんだからな。)――

 始まった当初の『サイバーフォーミュラ』はまさに『マッハGoGoGo』だった。とくにGSXはカラーリングこそ違えど、形はマッハ号で謎のボタンを押すとアンカーが出たり、偵察ポットを打ち上げたり、車体を浮かせるファンを出したりする。このまま行ったらタツノコがサンライズを訴えるんじゃないかと心配になったぐらいだが、そこはそれ、同じ所から始めても会社が違えばおのずと出来るものも違ってくる。
 最新のマシンにいきなり素人が乗って勝ちまくるってのは、いかにも『ガンダム』的である。んでもって話も半ばを過ぎると、変形する新マシン「スーパーアスラーダ」が出てくるあたりは『Ζガンダム』。またアスラーダ(サイバーシステムの方)とのやり取りは『青き流星SPTレイズナー』あたりからの蓄積を感じさせる。
(あと、「謎の覆面レーサー」が出てくるが、こいつが主人公の兄貴じゃなく、ヒロインの兄貴というあたりがサンライズ的かもしれない(笑)。)

 ――成り行きで始めたサイバーフォーミュラだったが、マシンの性能に助けられることでハヤトは予選を突破して見事ワールドグランプリへの切符を手にする。しかし世界の壁は厚く、ハヤトは一時はレースから背を向ける。だがレースに関わる人々の励まし、アスラーダとの絆、そしてアスラーダの軍事利用を拒否したために殺された父の思いがハヤトを成長させてゆく――

 この話は基本的には主人公、風見ハヤトの成長物語で、レースをやっていく中で多くの人と出会い、多くのことを体験することで、肉体や技能以上に精神が成長していく様を丁寧に描いている。この古き良き成長物語の魂は、『ガンダム』の後にアニメで失われていったモノの1つだろう。

 ――サイバーフォーミュラのルールはF1などに準じて、一戦ごとに順位に応じたポイントが貰え、最終的にポイントの合計が多かった者がその年のワールドチャンピオンになる。全十戦のワールドグランプリの中、サーキットやオフロードでライバル達と激しい戦いを演じながら、ハヤトはワールドチャンピオンを目指していく――

 レースを戦っていく中でハヤトの前には幾人ものライバル達が立ちふさがるが、彼らは単なる障害物ではなく、それぞれの人生を持ったドライバーである。『サイバーフォーミュラ』は群像劇であり、彼らライバル達もまた成長していく。
 また、彼らの乗るマシンも千差万別で、直線に強いの、コーナーリング性能が良いの、オフロード向きの、太陽電池で動くのと、それぞれのドライバーの個性やチームのポリシーを強く表しており、この話での必殺技に当たるブースト(過吸気による一時的な加速力の向上)を使うに際の掛け声ひとつとっても、「ブースト・オン!」「フェニックス・ウィング!」「メッサー・ウィング!」といった感じで無意味なまでに個性化が図られている。

 この話の中には色々なテーマが盛り込まれている。例えば「人とマシンはどうやって関わっていくべきか」とか、「勝つことがレースの全てじゃない。しかし戦うからには勝利を目指さねばならない」とかいったことである。だがより重要なテーマは三つの言葉によって表される。
 「夢」と「勇気」と「奇跡」である。
 ただこうやって並べると、空虚な美辞麗句に見えるこれらの言葉が、物語の中では確かなリアリティを持ってくる

 ――スーパーアスラーダを手に入れたハヤト達は早速、サイバーシステム・アスラーダを移そうとするがアスラーダにはプロテクトが掛かっており、パスワードを入力しない限りシステムを移し変えることは不可能。皆が試行錯誤を繰り返す中で、ハヤトは父の口癖「夢を実現するために生きる」という言葉を思い出す――

 ――最終戦日本グランプリ。北海道のニセコサーキットから富士山麓の富士岡サーキットまでという長丁場のレース。第9戦で壊れたスーパーアスラーダの修理は間に合わず、GSXではワールドチャンピオンは絶望的だと皆が思う状況で、ハヤトは勝利を諦めず、レース4分の3まで無給油、タイヤ無交換で走る(レース中にマシンを換えるためのレギュレーション)ことを決断。その間に修理を終えたスーパーアスラーダに乗り換えて残りで逆転しようというのだ。
 それはドライバーがノーミスで走ることを前提とするプランであり、成功する確率は限りなく低かった。
 しかしGSXはエンジンブローを起こし、タイヤをバーストさせながらも、ピットにたどり着く。スーパーアスラーダに乗りこむハヤトにあすかは「ハヤトは今までも奇跡を起こしてくれた」と信頼の言葉を掛ける。
 しかしハヤトは首を振りこう答える。
「今までのは奇跡なんかじゃない……。奇跡はこれからだ」

 第2戦で「勇気など必要ない。確率があればいい」と言っていたアスラーダ。しかし最終戦、富士岡サーキットで最後の勝負に出るとき、アスラーダはハヤトに言う。「君の勇気に期待する」と――

「夢を叶えるために、勇気を持って、奇跡を起こせ」
 37話のドラマを見終わった者には、三つの言葉が一つに繋がっているだろう。

00/08/08  東


蝕に歌えば

果てしなく青い、この空の下で…。 /TOPCAT /WIN95(18禁) /アドベンチャ−

「本年度をもって本学園は閉鎖となります、皆さんどうか最後の一年間を大切に過ごして下さい」

 春の始業式で先生がそう言った。覚悟はしていた事だった。

 前任の園長が病に倒れ、その後を継ぐ者が誰も居なかった為に瀬能先生が園長代理を勤め始めた頃から閉鎖の話はあった。
 前回閉鎖の話が出たときは瀬能先生が頑張って転入生を探してきた事でなんとかなったが、今年はもう無理だろう。

 生徒数は俺を含めて6人だけ。しかも俺以外は全員が女生徒。
 今年この学園に入学する予定だった子供達は何故か皆、近くの街へと引っ越して行った。

 古びた校舎の大半は使っておらず、掃除さえも年に一度するかしないかどうか……
 この学園が閉鎖された後には駅が出来ることになっている。
 駅が出来て電車が通ればこの村ももっと発展する。と言う話もある……

 最後の一年、皆はどう過ごすのだろう?
 幼い時からずっと一緒に遊んできた女の子達も、来年にはそれぞれ離ればなれになってしまう。
 見上げれば果てしなく青い空が俺を包みこむように広がっていた。
 来年、俺達はどうなっているのだろう?

――マニュアルから抜粋――

 普通、これを読んだら切ない系の恋愛シミュレーションゲームを想像するだろう。実際、4月から始まる物語は、秋を迎えるまでその真の姿を現さない。残された日々を心に刻もうとする若者達の、想いの揺らぎを描いた牧歌的な物語が綴られる。だが、このゲームは後に真の牙を剥く。
 山々に囲まれた過疎の村、安曇村。時代から取り残されたような牧歌的なこの村にも開発の波が静かに打ち寄せていた。リゾート開発目的の元代議士とその一味によって、静かな村の歯車が一個々々狂わされてゆく。そして、村の静寂に影を潜めていた真の狂気が、その顎をくつろげる。忍びの血統、魔ツ倉、炎の巫女、地下墓地、黒い井戸、生け贄、死の舞踏。
 蝕の赤い朧月の下、凄惨な結末を迎えたとき、主人公の横にいるのは誰か。これは、生存を賭けた蠱毒のような物語なのだ。
 とは言え、全ての物語を読み終え、全ての謎が紐解かれたあと、何故か不思議な清々しさが残る。そんな作品でもある。

 幻想と現実、歓喜と悲哀。
 苦しみ、切なさ、憧憬、郷愁。
 そして、彼女の微笑み。
 そう、あの青空は全てを包み、いつでもそこにあるのだ。

00/08/03  Chon


ザ・メイドウォーリアーズ アゲイン

よく解らない人はまず、こちらを。

――かつて栄華を誇ったこの大国は、いまや重大な危機に直面していた。
 ”独裁者、来栖川 芹香” 彼女はいつしかこの国の大統領の座にありつき、強力な魔術の力をもって、国民を制圧した。人々は洗脳され、考える自由さえ失った。社会は荒廃し、かつての経済大国は闇につつまれた。
 しかし、すべての光が消えたのではなかった。地下に潜り、来栖川政権に対し、抵抗を続けてきた組織”革命軍”。彼らは藤田 浩之という名の男のもとに結集し、起死回生をかけた作戦を実行しつあった。3体のメイドロボによる来栖川 芹香の暗殺。来栖川の軍隊と対等にわたりあえる強力なマシンの完成には長い年月を要したが、テスト段階で一刻を争う事態となった。来栖川が総力を上げて”反乱者狩り”を始めたからである。総攻撃を受けた革命軍は各地で敗走した。圧倒的戦力の前に革命軍はもはやなす術もなかった。テストもおこなわれないままメイドロボたちは指令を与えられた。
”政府軍を粉砕し、来栖川 芹香を暗殺せよ” かくして革命軍最後の反撃が開始された――

<キャラクター紹介>
[マルチ]
 大男(女?)タイプのロボット。スピードは3人の中で一番遅いが、それを補うパワーがある。鋼のヌンチャクでの攻撃と、相手をつかんでの投げ技が得意。
身長210cm
体重700kg

[セリオ]
 女性タイプのロボット。身軽で空中戦が得意。3人の中では一番バランスのとれた能力を有する。両手に持った苦無と背中の刀で敵を切り倒す。
身長170cm
体重 65kg

[HM−X12 カマイタチ(愛称)]
 投げ技はあまり得意ではないが、スピードに優れており、そのスピードを生かした攻撃が身上。両腕に内蔵した剣を振り回し、近づく敵を次々と切り倒す。
身長185cm
体重100kg

<アイテム>
 クマのぬいぐるみ:2回、投げられる。
 サンドバッグ:2回、投げられる。
 自動販売機:3回、投げられる。

<敵キャラクター>
[松原 葵]
 武器に頼らない、素手による戦闘を行う兵。耐久力があり、パンチやキックのリーチも長い。

[雛山 理緒]
 体は小さいが触覚をつけておりリーチが長い。小さいためにこちらの攻撃がヒットしにくい。

[宮内 レミィ]
 身軽さと弓を武器に攻撃をしかけてくる。外見からは想像し難いほどの耐久力がある。

[長岡 志保]
 軍団の中では派手好きの変わり者。口から吹く嫌な噂はガードできない威力を持つ。

[保科 智子]
 来栖川軍の司令官。ハリセンによる攻撃の他、手にしたトランシーバーでレーザー衛星に指示し、上空からのレーザー攻撃をおこなう。

[来栖川 綾香]
 格闘家軍団の頭領。体を鍛え上げており、さまざまな技を繰り出してくる。

[神岸 あかり]
 パワーに加え、スピードと身軽さを持ち、お下げのあかりと2体ひと組で攻撃してくる。

[姫川 琴音]
 バイオテクノロジーにより生み出された超能力者。長いリーチとスピードを誇り、全キャラ中最強である。

[来栖川 芹香]
 魔女。強力な軍隊を意のままにあやつり人々を洗脳した。その正体は謎に包まれている。

――3体のメイドロボにより来栖川は倒され、革命軍は勝利をおさめた。
 数ヶ月後、藤田 浩之は次期大統領として、この国に新政権をつくりあげた。
 革命の真の主役であったメイドロボたちは、任務の完了とともに自爆した。あまりに強力なパワーを秘めながらも、思考回路が未完成な彼女らを制御する方法はなかった。そのため、出撃直前に自爆回路をプログラムされていたのであった。
 メイドロボの研究はその後も続けられ、強力なメイドロボを配備した浩之大統領の新政権は、かつての来栖川の軍隊とは比較にならないほどの力を持つに至った。
 そして、軍事大国になりつつあるこの国を見て、人々は口々にこう言った。
「歴史はくりかえす」と――

 みたいな横スクロールタコ殴りアクションゲームを誰か作ってくれんもんかいな。

00/08/01  代


なでなでセネス

 よく見に行くサイトBiTmap Publishingこの記述に対して、野々村唯心斎さんこういうのを執筆されたので、拙者も真似をしてみました。もう、ベタベタですが。

 出撃を直前にして、オレたちはある意味でガーディアンよりも恐ろしい相手と戦わなければならなかった。彼女の名はセネス・CTN・クロフォード。オレたち、特殊戦闘機部隊222、サンダーフォースの隊長だ。
 事の起こりは先だってのブリーフィングにさかのぼる。

 南太平洋上の大型無人プラント「バベル」を制圧すべく出撃を命じられたオレたちだったが、1つ問題が起きていた。作戦開始前には、この基地に輸送されるはずだった機体が未だに到着していないのだ。問題の機体、ガントレットの強化改造機、RVR−01ExとRVR−01HiSを欠くことは作戦の成否に大きく関わる。しかし、もはや悠長に待っている余裕は無い。そこで出撃後、隊を2つに分け、別ルートから輸送されてくるExとHiSを直接、受け取る手筈になったのだ。当然、離脱する2機に乗る者が強化型を預かる事になる。
「ExとHisのパイロットはお前たちで好きなように決めろ。誰に決まったかは、あとでわたしに報告するように」
 隊長は無感情に告げると興味無さげに部屋を去ったが、残されたオレたちの間には奇妙な緊張が走った。
 そりゃ、みんないい機体に乗りたい。機体性能が高ければ生き残る確率だって上がるし、何よりここにいるのは手に余るほどの暴れ馬を力でねじ伏せて、自分と機体の限界の一歩先に踏み込むのが病的なまでに止められない連中だ。しかも厄介な事に腕前は全員ほぼ互角。今回は模擬戦をやる暇も無い。
 結局、しばし互いを牽制し会った後、クジ引きという無難な結論に達した。ところが、それだけでは外れた者が納得できないので当選者にはちょっとしたペナルティーをつける事になった。箱の中から一方の当選者が目的語、他方が述語が書かれた紙を引き、合わせて出来上がった文章を実行する事になったのだ。
 そして、オレたち2人が当りを引いた。ここまではよかったのだが、続けてのペナルティーの結果はよりにもよって、「クロフォード隊長を」「なでなでする」。この瞬間、クジに外れたヤツらがオレたちから目をそむけて、「いや、やっぱり新型より慣れた機体が一番だな」などとほざきながらブリーフィングルームから出ていったのは言うまでもない。

 オレたちは廊下の両端に立って、隊長がやって来るのを待った。うぅ、はっきり言って、怖い。もしかしたらオレたちは、強化型ガントレットを見ることなく地獄に墜ちるかもしれない。廊下に規則的に足音が響く。来た。努めてさりげなく隊長の方へ向かい、彼女を挟むように立つ。
「どうした?」
 隊長がオレを見た。今だぁっ!
「クロフォード隊長、すんませんっっっ!」
 ヤツが隊長に後ろから抱き付いて自由を奪う(もし、隊長がヤツの方を向いていれば、オレがこの役目だった。無念)。その隙にオレはクロフォード隊長に近づいて、頭を撫でた。彼女の白い髪は信じられないほど艶やかで柔らかかった。いつも近くにいたはずなのに、隊長がオレより背が低いことをはじめて意識する。な、なにをやってるんだオレは。
「説明してもらおうか?」
 全く動揺を感じさせない声で訊ねられた。その機械よりも機械らしいと評される声に、オレは今まさに自分が狼の口の中に腕を突っ込んでいる事を悟る。
「いや、あのですね。ExとHiSはオレたちが乗ることに決まったで、そのご報告にですね……」
 声がうわずっているのが自分でも解る。だが、どうしてもクロフォード隊長の頭から手をどけることが出来なかった。隊長の紅い瞳がオレを射抜く。まったく感情が読み取れない。
「説明になっていない。わたしはこの行動の理由を聞いている」
 怒っているようにも見えるが、他人事のように関心がないようにも見える。この女性は今、何を思うのだろう?
「ク、クジ引きのペナルティーで、あたあた当ったヤツがですね。隊長になでなでを……、も、申し訳ありませんんんっ!!」
「……なるほど」
 一瞬だった。隊長は自分にしがみついていた腕を捻って振りほどくと、ヤツの顔面に強烈な一撃をお見舞いした。続いて、ヤツを一撃でKOした鉄拳がオレにも襲いかかる。稲妻のように閃いたパンチを避けられるはずもなく、オレの意識が飛んでいく。
 だが、オレは自分が隊長の頭を撫でたこと、彼女の正面にいたことを神に感謝せずにはいられなかった。オレの言い訳に頷いた時、(ほんの僅かだったが)隊長は、セネスは微笑んだのだ。


はい、オープニングで7機いるガントレットが1面で5機になる理由がこれです。……本気にするなよ。

00/07/30  代


真夏の夜の夢

或る夏の物語 /空想有限会社 寿 /WIN95(フリーウェア) /アドベンチャー
 夏でござるよ。ここ数日は天候不順のため、ちったぁ過ごしやすいのでござるが、基本的にはもう毎日毎日、暑くて暑くて嫌んなっちゃうでござる(いや、ここはカタカナで「アツクテシヌゼー!」と言うべきか)。関東なんて嫌いよ。夏場の平均気温28度、学ラン着込んで平気だったあの頃に戻りたい。
 しかし、こう暑いとゲームで遊ぶのにも一苦労。SHT、ACTは集中力が持たないし、マウス叩いてればいいノベル系も、最近のヤツは長丁場を要求するもんばっかだから、頭が持たん。やっぱ、こういう時は夏の夜中にさくっと遊び倒せるゲームが欲しい。そこで今回は、山椒は小粒でピリリと辛いフリーウェア、しかも夏らしいデジタル紙芝居。空想有限会社 寿製作の「或る夏の物語」でござる。容量は5.4メガ。56Kモデムでも(理論的には)18分、60円だ。アイス1個分以上の価値は十二分にあり余る。まぁ、冷房がガンガン効いた部屋で寒さに震えながら「カノン」で遊ぶのも、人類の叡智が生んだ究極の娯楽ではあろうが。
 「或る夏の物語」は、主人公とその友人、友人の彼女の3人に起きたちょっとした(いや、実はかなり重大なんだが)事件を描いたADVである。台詞を読んでいくと時々、選択が出てくるオーソドックスなシステムを持つ。派手な分岐をするわけでなく、エンディングは2つ(だよな。あんまし自信ない)。
 豪快に盛り上がる展開や、感涙にむせびなくような物語があるわけではないが、主人公と友人の彼女との出来事を淡々、切々と描いたゲームの流れには趣き深い味がある。
 グラフィックの質も高く、夏の昼、夕暮れ、夜を上手く感じさせる(夏場に遊んだからかもしれん)。BGMとのバランスも良好。
 シナリオは賛否両論、意見が分かれそうだが、上手くオチをつけ、後味爽やかにまとめている。バッド(?)エンドの方を先に見るといいかもしれない。
 短編ADVとして、巧さが光るゲームである。

 暑い、夏の日だった。
 耳に入るのは蝉の鳴声と街の雑踏……
 そして離れて行く電車の音。
 『……わき……ん』
 『さわきくん』
 『私が、見えるの?』
 全てが手遅れだった、俺は黙って頷くしか無かった。

00/07/29  代


デモの話は意図的に外しました

封~領域エルツヴァーユ /ユークス /プレイステーション /対戦格闘
「零着ッ!」
  宇宙刑事 特異監査官ダンザイバーは、僅か10の17乗分の1秒で零着を完了する。ではその変身プロセスを解説しよう。(以下、略)
 こんなゲームでありんす。宇宙刑事が魔法使いや女子中学生と戦うゲームでごわす。でも主人公はラスボスの超生命体でやんす。さっぱりわからんでしょうが、この訳のわからなさぐあいが「エルツヴァーユ」なんでござるよ。
 「封~領域エルツヴァーユ」(エルツと略すのだそうな)は、「闘魂烈伝」や「双界儀」で名を馳せたユークスが自社ブランド製品として99年に発売したポリゴン対戦格闘だ。「架空のアニメ・特撮番組の主人公どもを一同に会して」という設定での対戦格闘(まぁ、「版権に注意してモノを言いましょう」的なヤツは前述のダンザイバーだけだが)だ。各キャラのストーリーモードやカメラワークなどの演出に徹底した悪ノリが貫かれている。個人的には「いいぞ、ユークス。もっとやれ!」だが、万人向けでは断じてない。演出面に加え、非主流ゴンポリ格闘なシステムなもんだから、巷の評価は賛否両論まっぷたつ。(作り過ぎもあると思うが)中古の値段は980円だ。ここで取り上げるに最適なゲームと言えよう(笑)。
 「エルツ」のゲームシステムについては、ハイパープレイステーション(ほぼ唯一「エルツ」の格闘部分を誉めた雑誌だ)での「攻撃、防御、回避の要素をかつてないほどマクロ的にまとめあげた」という評価に尽きる。(真の凄腕同士が戦うと近距離打撃のカウンターの取り合いになるんだそうだが)「エルツ」の戦闘は敵を回避・防御不可能な状況に追い込む事を主とする。ほぼ全ての攻撃は2択になっており、しかも選択を強いる状況を作り出す事は容易。攻撃の軸になる敵を硬直させる必殺技や捕縛攻撃をいかに確実に決められる流れを作るか。敵の攻撃を避けるのか受けるのか、その行動を取った後の彼我の状態はどうなっているか。突き詰めれば、「敵の1手先を読む」ことが戦闘の総てになる。
 駆け引きを敵の手の内を読む事に特化し、操作系を必要最小限に絞り込んだ結果、「エルツ」における戦術は既存のゴンポリ格闘とは別の次元のものとなった。例えるならば、業務用対戦格闘では多種多様な変化球を駆使して打者を打ち取る思考が要求され、「エルツ」では速球とカーブのみで三振を奪う思考が要求される。すなわち、同じ動き、同じ攻撃の中で無限の差異を現わさなければならないのだ。
 思考戦を制し、場の流れを支配する。読み通りに確実に技が決まり、必殺技のモーションに入る。その不必要ともいえる過剰な演出を目にし、うむうむと先ほどの攻防の余韻を楽しむ(同時に技終了後の位置関係から次の戦術を考える)。これが「エルツ」戦闘の醍醐味である。
 ところが、結果として行きつく形が限られているから、壮絶な読み合いを行った場合でも、なにも考えんとただ殴り合っただけでも、はたから見てると大して変わらんのよ、これが。しかも一発逆転が容易だから、計算があっさり覆されることも多い(これは美点でもあるが)。達人同士の名人戦も度が過ぎれば、一転、ただの泥仕合になる。なかなか上手くいかんのう。まぁ、最後は超必殺技で締める展開になるパターンが多いから、「終わりよければ全てよし」でいいんだけど。
「断罪、完了……!」 とりあえず、これでごまかしとけ。

00/07/28  代


「異形」は普通「いけい」とは読みません(2面デモ)

精霊戦士スプリガン /ナグザット /PCエンジン /シューティング
 もはや漫画のタイトルの方が圧倒的に知名度が高いが、(ほんの一時期だが)かつて「スプリガン」といえばPCエンジンのSTGだった事があった。より正確には、同程度にマイナーだったというべきだが。
 で、この「精霊戦士アレスタ」こと「精霊戦士スプリガン」は開発コンパイル、販売ナグザットで91年にPCエンジンで発売された縦スクロールSTGだ。日本独特の「いんちきファンタジーと見せかけて、実はSFな世界」を舞台にしたファンタジーロボゲーである。自機は、両肩に水晶玉をくくりつけた羽なしダンバインとしか形容しようがない精霊甲兵「スプリガン」(ゲーム画面ではむしろモビルスーツみたいだが)。全7面でPCエンジンらしく、喋るデモあり、スコアアタックモードありのなかなかに豪華な内容。伝統のパワーチップを食い散らかすパワーアップこそないが、高速スクロールや弾消しSTGを要求する戦闘などアレスタらしさが随所に光る。今見れば、グラフィックなどに、後の「魔法大作戦」への兆しが見えるような気がする。自機や敵機が単なる機械ではないゆえに要求されるアクションをきちんとクリアしていて、くどくない程度に効果的な演出を生んでいる。
 STGとして特筆すべきは、おそらくあらゆるSTGの中でも最多の攻撃形態を持つことだ。スプリガンは、精霊球(地水風火、4種)と呼ばれる謎の球体を取得(宝箱に入っている点から、敵からガメているものと思われる)してパワーアップする。ショットは、3個までストックできる精霊球の組み合わせによって変化するので、その数、実に29種類(加えてポンバー4種)。さすがに約30種類もあると、それぞれ一長一短というレベルではなく、使えないヤツは本当に使えない。精霊球はわんさか出てくるので、使えない組み合わせにならないように精霊球をボンバーとして捨てつつ、ベストの状態を維持していく。興味深いのはゲームへの習熟度によって、主に使う武器のみならず戦い方ががらり変わっていく所。はじめは画面全体を覆うようなショットで生存を重視するが、慣れてくると最初は見向きもしなかった武器に目が行くようになる。こうなると今まで使っていた広範囲弾は使えない武器の仲間入りをする。こういう遊び手を「ゲームが上手くなったような気にさせる」工夫は大切な事だと思う。
 STGファンの間では、むしろ続編の「スプリガンmk2」の方に評価が集まって、あんまし見向きされていない本作だが、とりあえず遊んでおけば「mk2」の最終面でニヤリとすること間違いなしだ(「精霊戦士」の惑星ジュラが「mk2」での火星になる。オープニングで「心を司る神が物質を司る神を倒してから96億7千万年経った星」と言っているのは忘れてやれ)。そういや、このシリーズの伝統として「ラスボスと主人公の会話が噛み合わない」、てのもあるな。黒幕の地球人(声、家弓 家正)がせっかく事の次第をえんえんと説明してくれて、「つー訳だから、貴様ら生かしちゃ帰さんぞ」と見栄をきった直後の主人公どもの台詞が「何だ、今のは?」 君たち、人の話はちゃんと聞きなさい。

00/07/27  代


夏季限定   ウソ八百物語

 昨夜、怪談蒐集本「新耳袋」を読んで、思い出した話。

 オレが小学生のころ住んでいた住宅地に、幽霊屋敷と噂の家があった。誰も住んでいないまま放置された一戸建てで、庭や障子などが荒れ放題なのだ。ガキどもの間では当然のように、噂に尾ひれ背びれが強制増殖され、100ページぐらいで短編が書けそうな怪談話が広まりつつあった。
 そして、オレたちも当時の心霊写真ブームに踊らされて、ある夜、心霊写真をゲットすべく問題の家に侵入を図った。
 まずは腰まで伸びた雑草だらけの庭で何枚か記念撮影を行った。予定ではその後、家の中に潜り込む計画だったが、いざとなるとさすがに気がひける。入る入らないで揉め始めた時だ。
「そこで、何やってんの?」
 家の向かいの通りから声がかかった。見れば、オレたちと同じくらいの年のガキだ。青地の半袖に野球帽だった。そのガキはオレたちの言い分を聞くと、興味なさげにその場を去った。残されたオレたちも興をそがれ、帰ることにした。
 後日、現像した写真には当然幽霊など写っているはずも無く、やがてこの一件は忘れ去られていった。

 数年後、高校での雑談中になんとなく思い出してこの話をしたら、話を聞いた相手が妙な事を言った。そいつの小学生の弟が先日、例の家で肝試しをしようとしたところ、やはり似たような風体のガキに見咎められたという。

 それから、さらに数年が経った。件の家はいまだに、あの時のままだ。彼もまだ居るのだろうか?

00/07/25  代


ブルジョワ・メカ

エクスランザー /セガ /メガドライブ /シューティング
 ――時は未来。地球は世界戦争のせいで盛大に荒廃していた。それを見かねた宇宙の知性(なんじゃそりゃ)は「しょうがないなぁー、のび太くんは」てな感じで、便利アイテム「ターミナル」をプレゼントをしてくれる。十数年かけて何とか復興のきざしが見えてくると、「喉元過ぎて熱さ忘れ」性懲りもなく世界征服なんて考える奴が出てくる。その男、オジー・ワイズは世界征服の手段としてターミナルを利用しようとするが、ターミナルが使えるのは精神電波が使える「選ばれた民」だけ。そこで電波を修行中の少女、ニーナ・アリスをかっさらうべく地球管理局に殴り込み。管理局の連中は敗走のあげく、世界大戦時に放棄された砂漠の基地に逃げ込むことに。ニーナの幼なじみで管理局の一員でもあるケイン・ブライアンは、そこで人型戦闘マシン「エクスランザー」と2機の支援機を発見する――
 パッケージを見れば、細身のシルエットのロボットが、大型の火器を手で持たず脇に抱えており、しかもそいつが本体とコードでつながっている。もう見るからにヘビーメタルである、永野護である、エルガイムである(青いからむしろバッシュか)。
 中身のほうはどうかと言えば、エクスランザーにはセイバー(ビームサーベル)等の近接武器が無い(蹴りはできる)あたりが相違点だが、光をエネルギーに変換するあたりがやっぱりヘビーメタルである。
 この光をエネルギーにするというのが、このゲームのシステムを成り立たせている元なのである。
 エクスランザーには通常弾の他に特殊武装があり、これは強力だが撃つのにエネルギーを消費する。また敵の攻撃で減ったシールドはコンパーターというもので回復することが出来るが、この場合もエネルギーをシールドに変換する。何をするにもエネルギーが必要で、そのエネルギーを得るためには光に当たる必要がある。光を得るためには時に地形を破壊し、時にサーチライトに当たり、時に敵の砲撃に身をさらす必要がある。この光を得るための駆け引きが全6面+ラスボスの攻略を左右するのである。
 特殊武器はスタート時に持っているのは2つで、2面以降で1つずつ入手する。一度に装備できるのは1つで、残りの武器は支援機に格納され、エクスランザーは支援機と合体して武器の交換をする。支援機には地上を高速移動する一輪バイク(なんか変)「アッパー」と、勝手に援護射撃してくれる空中母艦「フォージ」があり、各面と各ボス戦で決まった方が出てくる。2機の支援機と7つの特殊武器は全てエクスランザー専用で、その装備の充実ぶりは仮面ライダーで言えば、スーパー1かブラックRXか。少しは貧乏ライダー、ライダーマンに分けてやれって、感じである。
 特殊武器はそれぞれ長所を持っており甲乙付け難いが、使っていて面白いのは「メタルバード」。普段はエクスランザーの腕に留まっているが、命令一下敵に食らい付き、破壊するまで離れない。これを腕に乗っけてアッパーの上に立つと、もう気分はアイヌの戦士。私がこっそり、「大自然のお仕置きです」などと言っているのは誰にも言えない秘密である(書くのはいいんかい)。
 自機にはシールドがあり敵の攻撃を受けると減るが、各面ごとに回復の方法はある。1、2面は大型コンバーター(何度でも使用可能)、4〜6面では小型コンバーター(使いきり)、そして3面では……、木の実……。
 どういう原理か知らないが、森ステージの3面で、木に生っている1ドットの木の実を枝から離れて落ちるまでに食べる(?)と、エネルギーを消費してシールドが少し回復する。この木の実がパクパクと食べられようになれば君もエクスランザー1級だ。ちなみに落ちた木の実は食べられない。「3秒ルール」も通用しない。エクスランザーは育ちが良いのだ。
 ――エクスランザーを見つけたケインは颯爽と出撃し、その圧倒的なパワーで基地を包囲する砲台を破壊。しかし調子にのって暴れてるうちに空から進入した別働隊にニーナをさらわれてしまう(1面)。そしてニーナを取り返すべくケインとエクスランザーの戦いが始まる――
 1面でニーナがさらわれた後に1面ボス(ラスボスの次に強い)との戦闘があるが、こいつを倒すと脱出ポットのようなものが逃げていく。どうやらこれにオジー・ワイズ本人が乗っているようなんだが、各面ボスのうち無人のモノ以外からはこの脱出ポットが飛んでいく。どうやらオジー・ワイズは片っ端から自分で動かしているようだ。つー訳で毎度のようにケインとオジー・ワイズの対決が行われるんだが、このゲームでは文字とか音声でセリフが出ないんで、対決前のセリフを勝手に補完しておこう。

ケイン「オジー・ワイズ! ニーナ返せドロボー!」
オジー・ワイズ「小学生か、君は……」

 メカがブルジョワだからと言って、乗っている奴がブルジョワとは限らんからな。

00/07/23  東


その時、歴史が動いた

アローフラッシュ /セガ /メガドライブ /シューティング
 時に1990年。ついに国民機ファミコンの後継機スーパーファミコンの足音がゲーム業界に響き始めていた。後発ゆえ他社製品を凌駕する(ように見える)スペックをひっさげての御登場だ。スーパーファミコンのウリの1つに回転拡大縮小機能をハードウェアで持っていた点がある。「いやー、これからは拡大ぐらい出来ないとね」と鼻息が荒い花札屋に対し、セガもただ指をくわえていた訳ではない。「くやしくなんかないもん。拡縮なんてたいしたことないもん。ソフトウェアで出来るもん」とメガドラ誌上に見本写真を掲載したのだ。そこにあった「ファンタシースターT」と「U」のヒロインが拡縮や回転をする画像を見て、我らは声を揃えて言った。
「まともなアニメ絵のギャルを描ける技術があるなら、どうして『ファンタシースターV』で使わなかったんだ!」(←論点が違う)
 で、「アローフラッシュ」の話。「アローフラッシュ」はセガが90年に発売したオリジナル横スクロールSTGだ。メガドラ史においては、ゲーム内容はどうでもよく、ただオープニングデモだけが語られるSTGである。今にしてみれば、本当に大した事のない1枚絵だが、はじめてまっとうなアニメ絵のギャルが現れたのであるよ。そして「アローフラッシュ」の前と後では、どのメーカーもビジュアルデモの質ががらりと変わる。90年末の「ダライアスU」以外のSTGはなかなかすごいものがあったなりよ。
 ゲームは、人型に変形可能な戦闘機「ルシフォン」を操って全6面を戦う。自機は形態によってショットや、特殊攻撃であるアローフラッシュ(チャージ型、ストック型を選択可)の性能が変化し、状況に応じて使い分ける。ウリであるアローフラッシュは、戦闘機時には前方広範囲を掃射する強化ショットを放ち、ロボ時には攻撃判定を持つ無敵状態(青いエネルギー幕で覆われ、一時的に制御至難な高スピードを得る。V−MAX?)になる。1つの面は基本的に2部構成になっていて、暗礁宙域や亜空間戦闘、自由落下戦など(それなりに)バリエーション豊富。味方の宇宙ステーションが墜される演出や、敵に奪われた量産型部隊(当然、アローフラッシュを使ってくる)との戦闘もある。ありゃ〜、おかしいな。なんか面白いゲームみたいじゃないか。
 実際のはなし、メガドライブのSTGとしては贔屓目に見ても中の下。ゲーム画面があんましよろしくないのと、出てくる敵を撃つ以外に本当にやることがないのが欠点か。ただし、珍しい「本能型」の横スクロールSTGとして価値があるかもしれない。人間の目玉が横に並んでいるためか、横スクロールでは縦スクロールほどスマートに画面内での相対的な自機の位置を直感で掴めない。よって「高速でばらまかれる弾を縫うように回避」のごとき操作には向いていないので、必然的に敵やマップのパターンを覚える「学習型」STGの要素が強くなる(どっちが優れているという事ではない)。ところが、「アローフラッシュ」は覚える要素が殆ど無い(底が浅いとも言われる)ので、横STGながらなにも考えずに敵を叩いていればよい。さくっと遊びたい程度に小腹が空いている時にはいいかもしれん。あと、アローフラッシュはチャージ型(ストック型の方がゲームが簡単になるが)にして、ゲージを溜めている間に「アロ〜ぉ」、で、発射する時に「フラーッシュッ!」と叫ぶのが正しい遊び方だ。
 また個人的には、イラストレーター赤石沢貴士(「宇宙戦艦ヤマモトヨーコ」の人。というか「アローフラッシュ」の人が「ヤマモトヨーコ」の絵を描いていると言うべきなんだが)によるパッケージは数あるメガドライブのゲームの中でも、最もゲームのイメージにあっているものだと思う。はっきり言って、詐欺だけど。そういや、このゲームも取説、オープニング、エンディングで主人公の顔が全然違うわい。

00/07/22  代


テクノソレイユ2連発

快速天使 /テクノソレイユ /プレイステーション /アクション
 「快速天使」……。なんか暴走族の名前みたいだな。それはさておき、
 「ガイアシード」で業界を震撼させ、「絵さえ描ければ明日から一流」と謳われたテクノソレイユの第2作目がこれだ。で、やっぱし結果は予想通りというか期待通りというか、中古で980円である。ファミ通では13点だったそうだ。是非もなしよのぅ。
 やっぱし今回も見た目芳しくない。パッケージイラストの微妙に売れ線のバランスを外した所(但し、何か妙に気になるタイプの絵である)や、16ビット機のように見えてしまうドットワーク(これはテクノソレイユだけの問題ではない)など、見た目で損とかそういうレベルではない。オープニングムービーを見て、3点をつけたレビュアーの気持ちはわからんでもない(プロの仕事ではないが)。が、外見はとにかく、その実体はなかなか侮れないACTである。これだから、このメーカーのゲームは面白い(でも「トール アンリミテッド」はパズルだから買ってない)。
 社長の開発した「速く走れ、高く跳べ、あまつさえ疲れない」特殊靴を用いて、配達員が走って配達を行う「快速天使」有限会社はづき宅配便。現在、社長、集配主任、準社員、バイト、計4人のみの貧乏所帯である。業績が一向に上がらぬため、存続の危機にあるはづき宅配便に、ある日、保証限度額最大限の小荷物の宅配が依頼されたのだが……、というお話。とりあえず、これだけは言わせてくれ。「配達なんかやらないで、その靴を売れよ」
 ゲームは横スクロールタコ殴り型ACT。奥行きがない完全2Dである。性能差がある3(プラス2)人のキャラクターから1人を選び、そいつのシナリオを遊ぶ。全13プラス1面構成。操作性は良好で、各キャラの個性化も上手い。特に呪符使いが面白い(LRボタンで構え、攻撃ボタンを押すごとに印を結んでいく)。低難易度でやり応えがあるゲームづくりは健在。14面構成ゆえ展開のバリエーションが豊富で、しかもダラダラと長時間のプレイを要求されない。豊富な動作パターンによるドットキャラの演技は素晴らしく、戦闘中とデモでの動きに違和感がない。
 実はタイムアタックゲームであり、敵との無駄な戦闘よりも短時間による面クリアが優先される。ゆえにキャラクターのダッシュやジャンプ性能は高く、マップ構成も(考えて進めば)立ち止まらずに進むことが可能になっている。普通なら、1つ1つ跳んでいかなければならないように見える足場でも、ダッシュや2段ジャンプのタイミングを計れば一気に抜けられる。滞空時間ボーナスというフィーチャーも、質の高い高速移動を要求する。ハイスピードACTを謳って、それをきっちり追求した珍しいゲームである。
 また、ゲームのお約束を逆手にとったシナリオは好感度が高い。追加ボンバーをねだった時の「STGやACTではスタート時のボンバーは3つ、って大昔から決まっている事なのよ」までなら普通だが、その後、仲間に襲いかかってボンバーを奪う(ボロボロになるが初期ストックは増える)までやれば、一本取られたと笑うしかない。ボス戦闘を避ける選択肢が出てくるタイミングも上手い。ただ、「寒いギャグを言う」ギャグは解る人にしか解らないと思う。
 STG、ACT、パズルときたからには、テクノソレイユには次は「サウンドノベル」あたりでも作って欲しいものだ。対戦格闘でもいい。新作のタイトルは出てるんだが、ジャンルがまだわからんのよ。

00/07/21  代


情熱ルネッサンス

ガイアシード /テクノソレイユ /プレイステーション /シューティング
 先日、「AIR」のデモや画面写真を見て思った。
「やはり演出の勝者の必要条件はアイデアじゃなく、圧倒的な技術力なんだわ」
 同じ到達点を目指して、同じアプローチを行う者は多い。だが、頭の中にあるイメージを具体的な形にして他者に提供する技術力の差が、最先端にいる者と追随する者の間に越えられない壁を作る。
 さて、ここに「ガイアシード」というプレイステーションのSTGがある。その筋では大評判のコンシューマーオリジナルの横スクロールSTGだ。どんなゲームかは、なんか適当な検索エンジンで「ガイアシード」で検索してみればレビューがたくさんある。言ってることは、おおむねみんな同じだ。すなわち、「パクリは止めろ」、「絵をなんとかしろ」、「だが情熱は認める」である。そう、このゲーム「にせタイトーSTG」なのだ。
 時は未来、環境管理システム「ガイアシード」によって繁栄を手にした地球。だが、宇宙に放逐したはずのプロトタイプガイアシード「ウラヌス」が地球に迫る。ガイアシードはウラヌス・コアの破壊を提案し、人類はそれを承諾する。遠隔誘導式自己修復型戦略兵器によるプロトガイア破壊作戦が始まる。ちなみに、決戦兵器は(たぶん)14歳。
 STGとして見た場合、(完全に主流から外れているとはいえ)「ガイアシード」の出来はそんなに悪くない。自機ショットの範囲を狭め、むしろ敵の配置を練ることでゲームバランスをとり、「弾除け」でも「弾消し」でもないゲーム展開を見せる。難易度は猛烈に低いが、単調なゲームではない。爽快感極限重視型ではないにもかかわらず、簡単でそれなりに面白いゲームという高いハードルをクリアした手腕は評価に値する。
 だが、このゲームの全ては演出にある。にせタイトーSTGの異名に恥じず、「メタルブラック」、「レイフォース」、「ダライアス外伝」など、どっかで見たような場面のオンパレード。それも演出系STGが好きで好きでたまらない奴が、「ここで、こんな演出があるとカッコイイよな」と頭を捻っているのがよくわかる(もし全くSTGに思い入れが無い奴が計算と分析だけで作ったんなら、それはそれで面白い)。だから、ニヤリとさせられるし、テクノソレイユというメーカーに対する好感度は高い。が、そこまでだ。「ガイアシード」は意欲作だが、正直、模造品にすらなりきれていない。
 パクリが悪いのではない。むしろ、「ガイアシード」の存在異議はタイトーのパクリにある。もっと徹頭徹尾、タイトーSTGの真似をするべきだ。それはBGMとスクロールの同期などといった個々の手法ではない。ゲームを構成する諸要素(それぞれが最高レベルのものであることは言うまでもない大前提)が破綻寸前まで自己主張しあい、結果として生まれる極限のゲーム映像美だ。
 もしもテクノソレイユに、彼らの素晴らしい情熱に説得力を持たせる技術力があったなら、「ガイアシード」は(うちの近所の)中古ゲーム屋で叩き売られるような屈辱は受けなかったに違いない。

00/07/20  代


自らに頼む。それが超人!(←なんか違う)

鈴がうたう日 /タクティクス /WIN95(18禁) /アドベンチャー
 むかしむかし、神様になろうとしたナメック星人がいました。彼には充分な力があったのですが、先代の神様はなかなか認めてくれません。彼の中には僅かに悪い心があったからです。彼はその後、自分の中から悪い心を追い出し、神様になることが出来ました。ところが、何ということでしょう。神様から分かれた悪い心は大魔王になってしまい、あまつさえ神様よりもはるかに大きな力を手に入れてしまったのです。
 この神様の名を「鈴がうたう日」、大魔王の名を「カノン」と言います(もっとも、再び合体しても飛躍的にパワーアップするわけではない)。
 という訳で、分裂後の新生タクティクス(保守党?)の第1弾だった「鈴がうたう日」(以下、鈴うた)の話。「ONE」成功後のスタッフ移籍の話はみなさんよく知る所でありましょう。個人的には当時、(少なくとも客が求めていた)戦力をごっそり失ったタクティクスがどういうゲームを作るのかは、「ガンスターヒーローズ」後の「魂斗羅 ザ・ハードコア」のようになれるのか、という意味で実に興味深い事態でありました。しかも「カノン」の発売延期により、発売時期が完全にかち合ったもんだから、もう大変。さて、結果や、いかに?(まぁ、予想通りだったが)
 「鈴うた」は2部形式(オープニング入れると3部)のADVだ。マップ内の場所を選んでイベントを起こしていく前半戦と、前半戦でフラグを立てたキャラのシナリオを読むだけになる(実質エンディング)後半戦に分かれる。前半戦は主人公と友人たちの日常喜劇。このゲーム、はっきり言ってギャルよりも野郎どもの方がキャラが立っているので、ほぼ主人公周りの集団コメディーとしてのみ機能している。ところが問題は後半戦だ。
 結論から言おう。「ONE」と同種の感動を期待、とにかく泣きたいのなら「鈴うた」には手を出しては行けない。エンターテインメントとして人を感動させる点においては、あらゆる面で「カノン」の方が優れている。だから「鈴うた」は「おもしろい」ゲームではない。ただ、このゲームのシナリオはボディーブローのように後で効いてくる。「腹筋」を鍛えていない奴には、かもしれんが。
 「鈴うた」の根幹にあるものは「自助努力」であると言われている。
 どのシナリオも、いわゆる「可哀相な女の子を助けてハッピーエンド」の形を取らない。相手を全肯定するわけでもない。主人公には主人公の、ヒロインにはヒロインの思惑がある。ただ、同じものを感じるだけだ。「側に立つ。風を感じる。それだけでいいんだ」
 それぞれが、それぞれの毎日を生きるために必要な事がある。誰かの助けがいることもある。嫌なことも、楽しいことも無い日々からの脱却は、自分の世界への感じ方に気づくことから始まる。他人に手伝えるのはそこまでだ。あとは自分で考えなければならない。結論を出すのはあくまでも自分自身。「この手で何を掴むことが出来るのだろうか?」
 だから、強固な感動を呼ぶわけではない。今まで頑張っていなかった奴が「よし頑張ろう」と決意する話で泣けるか? 実際に頑張っている奴や全く頑張る気が無い奴にはどうでもいい話に過ぎない。だが、「えいえん」を感じられず、「奇跡」だけを信じられない人には何かが届くのかもしれない。
 余談だが、「カノン」も「鈴うた」も「病院で眠り続けているはずの少女が起こす、ほんの小さな奇跡」という主構造を持つ。「風の辿り着く場所」というキーワードも双方が持つ。比較テキストとして面白い題材だと思う。どっちも「これなら勝てる!」と思ったんだろうなー。真実はもっとドロドロしているかもしれんが。
 また、BGMのレベルは異様に高い。主題歌のアレンジで押しまくるような形ではなく、楽曲単体の力で感情を誘導するタイプの使われ方をしている。特に、基本をスローテンポのピアノで固めて周りをバリエーション豊かな音色で飾る「ほしをみつめて」が、この手のゲームのBGMとして完成度が高いと思う。でも「勝利のポーズ」の鬼気迫るアレンジは怨念が感じられて怖い。
 そういや結局、ゲームではすずは1度も歌わなかったなー。タイトルに偽りありじゃ。

00/07/18  代


メタモルブラックとメタルブラックぐらい違う

ひみつ戦隊メタモルX /毎日コミュニケーションズ /サターン /アドベンチャー
 この日本、ゲーム製作者は数あれど、「鬼才」という称号を冠されて、しかもみんなが納得してしまうのは遠藤 正二朗氏ぐらいのものであろう。娯楽性の高いしっかりしたコンセプトワークと、社会性や人間の内面を隠し味にした脚本に定評のある御仁である。メガドライブ市場で大暴れした後、サターンでもいくつかの作品を制作したが、そのうちの1つが「ひみつ戦隊メタモルX」だ(プレイステーション版もあり)。
 その製作コンセプトは「東映特撮戦隊モノ(初期のものや石森章太郎原作戦隊のテイストが強い)」と「魔女っ娘モノ」の融合。これを主人公とゲーム攻略対象である仲間というギャルゲーフォーマットでくくり上げ、30分テレビ番組の体裁を模したADVに仕上げている。その完成度はすこぶる高い。高いのだが、何か? このゲームを真に楽しみたければ、「メガドライバーであること」、「戦隊モノに対する理解がある事」、「魔女っ娘のノリがわかる事」、「ギャルゲーの方法論に抵抗がない事」、以上の条件を満たさねばならんのか? な、なんて狭いターゲット。俺だって全部はダメじゃい。
 ゲームは、「オープニングの歌→Aパート→アイキャッチ→Bパート→次回予告→エンディングの歌」を1話として全6話で構成されている。テレビ番組の形式を持つゲームは、もはや珍しくないが「メタモルX」のすごいところは「本当に30分で終わる」ことだ。テンポよく話は進み、食い足りないわけでもない。あと、OPソングがなかなかいい感じだ。さぁ、みんなで歌え! ♪赤い〜、ハぁート、正義に燃・え・るとき〜
 基本的にはキャラ同士の会話を楽しむだけだが、要所で発生するALIS(Active Language Interactive Systemだそうな)と、LRボタンでツッコミをいれる事によって、相手の言葉に対する態度を決める。会話の流れの中で自分の態度を示す事で、直後の展開が変化する会話システムは、いくつかのADVで見られるファクターだが、現段階では「メタモルX」のものが(汎用性は無いが)もっとも出来がいいような気がする。
 話数は少ないながら各キャラが主人公の話はあるし、合体必殺技や巨大ロボ(ギンガマンのロボにクリソツ。つーか、ギンガイオーがメタモルロボに似ている)もある。あとは「幼稚園バスジャック」と「ダムに毒を混入」があれば完璧だったのに。
 物語は、小学校の保険医に身をやつした宇宙刑事(負傷のため変身能力を喪失)から代理刑事メタモルXに任命された小学生どもの友情と成長(文字通り)を描く青春爆発ファイアーな一大感動巨編である。
 1年前の戦いによりリーダー、メタモルレッドを失ったメタモル一味。だが、新たな敵、クーデターで星を追われたアドニス王家の魔の手が地球に迫っていた。その時、カラード特性(変身というか成長に必要な資質らしい)をもつ者が転校してくる。メタモル一味は、こいつを2代目レッドに祭り上げるべく暗躍を開始。カラード特性レッド、燃える正義の赤、その少女の名はっ!
 というのが導入。成り行きから2代目リーダーになった新条 咲慧(好きな俳優、岸田 森ってあたりがマニアですね)と、仲間たちの奮戦がここから始まる。
 表向きは悪の宇宙人から地球を守る正義のヒロインに任命された少女たちの物語なのだが、端々に悪逆な物言いが目に付くのが笑わせてくれる。
なにせ、のっけから、
「民主クーデター、って何ですの?」
「貧乏人の群れが、少数の金持ちと立場を逆にする事だ」
「しつもーん! でも、そうしたら貧乏な人って?」
「あぁっ! 金持ちにはなれん」
 これだ(あまつさえ、「他星の民衆の事など心配する必要は無い!」と続く)。他にも「地球のものは草1本、宇宙人にはくれてやらん」などの発言が目立つ。ウルトラ警備隊みたいだ。また、最終決戦(当然、5対1だ)での「目潰し」→「しびれ薬」→「とどめ」という流れは、かつて見たことがないほど悪辣である。よく考えてみたら、合体必殺技「カラードジェネシス」の「相手の良心を呼び覚ます」っていうのも、敵を強制的に改心させて、罪の意識にさいなむようになってから監獄送りにする訳だから、ひでぇ話だ。昔、(たぶん)バイオマンの最終回で大ボスを洗脳した事の道義的問題に対する議論があったのを思い出すわ。
 正義とは時として、悪党以上に非道なもの。残酷ハートがドキドキしますわ。

00/07/16  代


俺が掘らねば、誰が掘る!

ミスタードリラー /ナムコ /プレイステーション /アクション・パズル
 フェリオスの項で、代氏がnamcoの暗部(恥部?)について触れていますが、あたしゃ誰がなんと言おうとnamcoのファンです。
 小学生時代、世界最高のゲームは「ドルアーガの塔」だと信じていたし、中学生時代、美術の課題で提出したポスターの図案は「ポールポジション2」でした(本当は「ワルキューレの冒険」を描きたかったんだが、そんな画力は生まれてからこの方、一度として持っていたことがない)。大学を中退した理由はアーケードで「リッジレーサー」がやりたくてサボってばかりだったせいだし、最強のドライビングBGMは「R4」だと信じてます。例え社長が既知街だろうと、相変わらず変なグッズばっかりオンラインで売っていようと、namco激loveなのです。
(あ、今読んだら、別に代氏はnamcoを悪く言っているわけではないのね。(^^;)

 つーわけで、今回はnamcoのコンシューマ向け最新ソフト、「ミスタードリラー」です。
 このゲーム、早い話が連鎖系落ちものパズルと、名作「ディグダグ」を足したようなゲームです。画面はかなり「メガパネル」似ですが、気にしてはいけません。ルール自体は単純。自キャラ「ホリ ススム」(このセンス好き(笑))を操作して、足下のカラーキューブ群を1000m掘り進んでいく、ただそれだけです。
 ただ、このキューブ、かなり癖があります。まず、下のキューブが消えると落下して、一番最初に隣接した同色キューブにひっつく。んで、4つ以上くっつくと消える。これが連続すると連鎖になるわけですが、はっきり言ってこのゲーム、不必要な連鎖は地獄行き最短距離です。遙か上の方から思いがけないキューブが振ってきて、圧死確定です。
 しかも、地下へと掘り進んでいくため、ススム君はすぐに酸欠に陥ります。何故か地下に誰かが置いていってくれた酸素カプセルを、酸素切れ前に定期的に取っていかなければいけません。おかげで、潰されて死ぬ以外に、真っ青になってのたうち回りながら酸欠死という想像するだに過酷な運命が目の前でばっくりと口を開けて待っています。
 この、「ひぃ、潰される!」、「空気がぁ、空気がぁ!」という状況を、高速かつ的確な判断力と操作で切り抜けていく、真の漢のためのゲーム、それが「ミスタードリラー」なのです。
 しかしながら、プリティーなキャラと一見目に優しいパステル調のグラフィック、加えて業界随一と言っていいポップでイカスBGMのせいで、「きゃー! かわゆい!」とか叫んで買ってしまいそうなので要注意です。

 ちなみに、あたくしこの1週間挑んでおりますが、一番簡単なモードでも最高記録は722m。1000m到達で何が起こるのか気になりますが、先はまだまだ長そうです。ていうか、ホントにこのゲーム1000mで終わるんでしょうね? namco様。

 最後に最新情報。7月下旬にアーケード版の「ミスタードリラー2」がリリースされます。今度は対専用2Pキャラ、「アンナ・ホッテンマイヤー」(笑)も参戦。タイトルが「ホリ・マクール」とかにならなくてホッとしている今日この頃です。

00/07/15  Chon


そういや「町人」なのは1だけだったなー

改造町人シュビビンマン2 /メサイヤ /PCエンジン /アクション
 メサイヤといえば、「重装機兵」だったり「超兄貴」だったりと、人によって印象が様々であろうが、やはり初〜中期のPCエンジンで当るも八卦、当らぬも八卦と大暴れしていた頃の勇姿が忘れられないメーカーである。通を唸らせ、今なお語り継がれる名作を出したかと思えば、別の意味で語り継がれる駄作も作ったりする。こういうムラっ気たっぷりなメーカーって好きさっ。あんまし優等生過ぎてもねぇ。
 で、メサイヤのPCエンジンHuカードものの中で「モトローダー」と双璧をなすのが、「改造町人シュビビンマン」だ。3まで発売されたが(スーパーファミコン版ってどうなったの?)、そのうちで最も出来がいいとされているのが「改造町人シュビビンマン2 ――新たなる敵――」だ。ただし、2は難易度が他より数段高いがな。
 改造町人シュビビンマン。それは亜空魔団の町内侵略阻止のため、本人の了承なくサイボーグに改造された町の魚屋、太助と女子中学生のキャピ子の通り名である。生まれ変わった不死身の身体! 獣のようなこの身体。「早く人間になりた〜い」
 亜空魔団との戦闘から2年。ライオ帝国を名乗る謎の一団の魔の手が地球に迫る。はたして、太助とキャピ子は帝国にさらわれた博士を救出し、真人間に戻ることが出来るのか?(注、その予定はありません)
 2人同時プレイ可能(ライフは共有)な横スクロールACT。1と3では剣を振るが2では弾を撃つ。溜め撃ちのシュビビームはシリーズ通しての武器だ。2では合体光線技や強化光線(発動時の合成音声が場を盛り上げる)などもある。左右の移動が速く、浮かび上がるようなジャンプで上昇下降が遅いタイプの操作感覚を持つ。群がるザコの殲滅と対大型ボス戦、同サイズクラスの敵との一騎討ち等、状況に応じた操作を要求されるが、その分、メリハリが効いて進行が単調になるのを防いでいる。
 とにかく、80年代末期から90年頭の頃のマニア向けヒーロー像の総決算的なノリのゲームである。ちょっと前に流行った「アカデミズムな背景で固める」路線のみならず、その前の「とにかく熱血だ! 燃えるーっ!」路線のさらに前だ。よって展開は王道の極み。市街戦に始まって、海や空へとめまぐるしく場面が変わる。最後には、最終兵器「即死ビーム」を放つ「即死衛星」(こういうセンスって大好きさ)の破壊のため宇宙へ出る。通常のACTのみならず、STG(勝手に付けられた変形機能で飛ばされる)も挟む一粒で二度おいしい面構成になっている。お約束のニセモノ、シュビビンマンシェイド(色は黒)との死闘と和解もあり。「7〜8面でACTを作るなら、普通はこうだ!」という要素をきっちり踏まえた秀作である。
 あぁ、こういうノリが素直に(懐古的にではなく)楽しめた頃が懐かしい。メサイヤよ、ハードは問わないから(携帯モノ以外)、完全リメイクしてくんないか。タイトルは「改造町人シュビビンマン エターナル」! このさいWIN95でもいい(余計に面倒か)。

00/07/14  代


あの橋は遠すぎたんだ

フェリオス /ナムコ /メガドライブ /シューティング
「パラディンの剣は所詮、光の剣。闇を討つ為には闇を知らねばならぬ」と思っのたかどうかは知らないが、ナムコにはかつて業界ナンバーワンのギャルゲーメーカーだった時期があった。おそらく、ナムコが名実ともに真のトップメーカーであるために必要な試練の時であったのだろう(エニックスやコーエーの黒歴史に比べればかわいいもんだが)。実際には、そんなに数を出していたわけではないのだが、一部で不当なまでのバッシングを受けていた。思うに、ナムコにとってポリゴンという新兵器を得た1番の利益はギャルを作っても文句を言われなくなったことなのではなかろうか?
 さて、「フェリオス」はナムコがギャルゲー大王だった89年に発売された業務用縦スクロールSTGだ。当時の最新基盤を用いた美しいグラフィックと、マップやオブジェクトの大胆な回転拡大縮小による演出を表向きの看板にして、その実は美麗アニメギャルと質の高い音声デモで獲物をゲットする狡猾なゲームである。「脱衣麻雀を横目で見ていた麻雀の打てない若人よ! 君たちにも、画面1杯におねぇいちゃんがのたうちまわるデモを見せてやるぜ!」とばかりに燦然と登場した「フェリオス」だが、プレイ時のこっ恥ずかしさは当時のゲーセンではトップクラス。まじまじとデモを見るためには、かなり勇者の資質がものを言うのであった。
 1年後、メガドライブに参入したナムコは参入第1弾のタイトルとして、この「フェリオス」を移植するのだが……。

――これは古代ギリシアの神々の意志を伝える物語――

取説より。大ウソである。そんな話では絶対ない。
 かつてオリンポス神族により倒されたはずの邪獣デュポン。だが古今東西、解けぬ封印、復活しない魔物はない。甦ったデュポンは懲りずに神々に牙を剥き、月の女神アルテミスを拉致する(女さらっただけで、あと何もしないのも、この手の奴の伝統だな。そんな事で天下が取れるか!)。太陽神アポロンはアルテミス奪還のためペガサスを駆って単騎、出入りに向かうのであった。唸れ! ペガサス流星拳!
 ゲーム内容は波動砲、オプションと、他のSTGをパク……、もといハイブリットなSTGだ。全7面でバリエーション豊富。ハード性能的に不可能な拡大や回転をスクロール変化など、あの手この手でごまかして、オリジナルとよく似た雰囲気を出す事に成功している。はなから完全移植など夢のまた夢だったがゆえに、家庭用STGとして1から作りなおされ、結果的にオリジナルよりバランスが取れたゲームに仕上がっている。
 ショットの威力を1とした場合、16の威力を持つ溜め撃ちによるピンポイントの射撃が戦闘の中核をなすが、弾数制限がある広範囲殲滅用サブショットもある。狙撃と掃射が上手く組み合わさって、展開にメリハリをつけている。最終面で使用可能になる光の剣「フェリオス」(魔貫光殺砲。威力256)のケチケチしない破壊力は爽快感溢れる(もっとも、ラスボスにはこいつを100発近くぶち込まんといかんのじゃが)。
 以上、STGとしてはそんなに悪い出来ではない。だがしかし、肝心のグラフィックがなー。やはりハード性能の壁は簡単には越えられないくらい高い。努力の跡は痛いほどわかる。わかるが、悲しいけど、これってメガドライブなのよね。敵も味方も、どいつもこいつも別人28号だ。カットされたデモも多い。ただし、アルテミスの戯言が産み出す一種独特の暗黒フィールドは健在。結局、ナムコがメガドライブでのギャルの描き方に開眼するのには「メガパネル」の登場を待たねばならないのであった。
 当時、メガドラ誌上では、いつまでたっても自社のメジャータイトルを移植しないナムコの本気を疑う意見がよく語られていた。だが、ナムコは本気だったと思う。ただ、全力で当ってもどうにもならん時は、どうにもならんのである。

00/07/13  代

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